この頃 あるきっかけで層雲峡(そううんきょう)に興味を持ちネットで調べ始めました。それまでは層雲峡に対するイメージに特別な物はなく、旭川に住む者にとっては観楓会(かんぷうかい=北海道特有の紅葉を楽しむという名目の飲み会や旅行会)や忘年会で訪れる温泉地で、ひたすら凡庸的印象があったのですが、さすがこれ位の規模の温泉街になると相応の歴史があり、面白い事に気付いたのです。
という事で片道50キロちょいの層雲峡にブラっと出掛けてきます。
本日懐かしの音楽はパーソンズ。棚からセレクト。最近ドライブで懐メロを聴くのが楽しみになってきた・・。まだ活動しているみたいで嬉しい。
妻は用事があって1人で出発。ただ私も午後から仕事があるので、この旅を午前中でまとめあげなければなりません。
上画像は道道849号線。普通の人は旭川紋別自動車道か国道39号線を走りますが、この道路の景色が好きなので今回はここを走ります。上川の町を見下ろす道路で実に爽快で楽しいのです。
この道路沿いに私の好きな廃校があります。明治40年開校、昭和55年廃校の「元上川町立菊水小学校です」。この学校、閉校して30年以上経つというのに当時のまま建物が現存しています。近隣の方のメンテナンスの賜物との事。
正にノスタルジー。
体育館の壁には懐かしのバットレス(壁にくっついて見える直角三角形の補助的な柱)があり、建物の外装も建物の雰囲気を破綻させない様にリペアしているようだ。
小一時間で層雲峡温泉郷に到着。
紅葉のシーズンも終わり、何となく静かな様子。
立派な無料屋内駐車場があるので、そちらを利用します。
壁の部分にはネットが張られており、これは明るさを保ちながら冬期、雪の屋内への入り込みを防ぐのに役立ちます。
層雲峡には17軒のホテル・旅館・民宿・ペンション・ユースホステル・1軒の共同浴場、2軒のコンビニ、環境省の層雲峡ビジターセンター、黒岳ロープウェイ乗り場があり、近くには大雪山黒岳スキー場や、キャンプ場があり、ナカナカの繁栄ぶりです。
また温泉街はカナダの山岳リゾートをイメージした「キャニオンモール」風になっていて、オシャレな雰囲気を醸し出しています。
本日の入浴先は「黒岳の湯」です。
こちらは上川町営で、午前10時からOPENしております。
この建物はインナーモールになっており、黒岳の湯以外にも上画像のイタリアンレストランや、ラーメン店、ペンションなどにもアクセス出来ます。
焦って撮影しているので写真が斜めっています^^;
ここから2階の温泉に登ります。
午前10時、入浴料600円を支払い一番で入場。
脱衣場。
誰も居ないのでちょいと撮影(朝一番、他に2人の客がいましたが、誰よりも早く服を脱ぎ捨て撮影)
内湯は小ぢんまりとしていますが、岩を使った洒落た雰囲気がいい感じ。
洗い場。洞窟風な雰囲気。少々狭い感じもしますが、逆に落ち着くかも。
露天風呂やサウナに向かうには内湯の階から階段を登らねばなりません。
そう、面白い事にこの温泉はメゾネットなのです。
露天風呂。木の柵の向こうには国道39号線や温泉街、峡谷が展望出来ます。
柵が無ければ座って入浴しながら景色を見渡せて良いのですが・・。周囲の環境から残念ながら柵を取り払う事は難しいですね。
上)と言う様な温泉です。
休憩所も完備です。
1階イタリアンレストランも利用しようかと思っていましたが、まだオープン前だったので(オープンは11:30)次の機会に。。
モール内にはスキ―ジャンプの原田雅彦コーナーがあり、トロフィーや日本代表時のジャージやスーツなどを見る事が出来ます。視線を上にするとマネキンがジャンプしています。
層雲峡温泉街を歩きます。とても綺麗に整備され、そしてお洒落です。
黒岳ロープウェイ乗り場。このロープウェイで大雪山連邦 黒岳の5合目まで行く事が出来ます。20分間隔で運行しています。
本日は紅葉時期も終わり、人もまばらです。
温泉街の中に「層雲峡ビジターセンター」を発見。ちょいと覗いてみよう。
画像では分かり難いですが、軒下には雪が積もっています。
入口で施設内容を確認。何と無料の施設。入場するとヒグマの迫力ある剥製。
立ちあがったヒグマは2m以上あり、改めて人類では喧嘩で敵う相手ではない事を確認。手は野球のグローブみたいで、そこに生える爪なんて10㎝位ある。あんな手で殴られたら一発であの世行きだ。
層雲峡の自然について展示。そして足を進めると・・
エゾシカのオスの剥製。角はオスだけに生えます。春になると角は抜け落ち、繁殖期の秋に向かって生え揃います。(オス同士で喧嘩するって事です)
様々な理由で増え続けるエゾ鹿の交通事故は近年社会問題になっており、私の知人も何人か衝突事故で大変な事になりました。
北海道には1800年末期まで野生のオオカミがいたのですが、家畜を襲う事、毛皮の利用の理由から乱獲され、絶滅しています。そこからはエゾ鹿のパラダイス。(本来植物寄り雑食性のヒグマが増えて捕まえ易くなったエゾ鹿(特に小鹿)を捕食する事が増えているそうです)
エゾ鹿が増え過ぎると交通事故以外にも農作物への食害、野生植物等への食害から生態系の影響が出ている様ですが、最近はハンターの数も減り、思うように行かず、外国からオオカミを輸入して野に放とうという案も出ているとか。
でも野生のオオカミが野山にいたら、1人キャンプなんて恐ろしくて出来ないな。
様々な野生動物の剥製が一堂に会していて面白いです。
左)エゾオコジョ・右)イイズナ(牙を剥き出して怒っている所)
いずれも冬になると夏のツートンカラーから白一色に毛が生え換わるとの事です。
エゾモモンガやエゾリス、エゾユキウサギ、エゾアカゲラなどの展示。何でもとりあえずエゾ(蝦夷)が付く^^
アチラを向き吠えているお母さんグマ、あどけない表情の小熊、生まれて間もない小熊の剥製。
大雪山一帯のジオラマ。ボタンを押すとLEDが光ります。暫く楽しみました^^
クマゲラの巣(中央)やアカエゾマツ(右)の展示。
面白いのはアカエゾマツの年輪が年表になっている事。この樹の生まれは1603年に江戸幕府が開かれた時で、約400年の樹齢をもって切り倒されたのですが、ホント、樹木を育てるには年月が掛かるんですね。
クリックすると拡大します(上)
層雲峡温泉街にはセブンイレブンとセイコーマートがありますが、いずれの店舗もカラーリングが層雲峡カラ―で周囲に溶け込む様になっています。
層雲峡から石北峠に向かって進み、大函(おおばこ)に向かう。
向こうに見える鉄橋は昭和49年まで国道の橋として使われていた。鉄橋の先には旧大函トンネルもある。
すぐ傍に新たな大函トンネルが出来た為、その後遊歩道になり、崖崩れの危険が指摘されてから閉鎖してしまった。
真正面から鉄橋を見るとトンネルが見える。
層雲峡は今から3万年前に大雪山が噴火し、その時堆積した岩の石狩川による浸食で形成された峡谷であるという説明書き。
マグマが冷やされて出来た柱状の岩が(柱状節理というらしい)層雲峡の特徴です。
大函から上川方面に戻る途中、流星の滝と銀河の滝を見学。
今迄何度か見に来た事があるが、滝にさほど興味が無いんだよな~。
樹木が生い茂っている夏場より滝が良く見える。
銀河の滝が120m、流星の滝が90mの高さだそうな。。
本年9月10日、高さ180m幅60mにわたり崖崩れが起きた現場。それから2カ月経っているので、それなりに片付いたようだ。
幸い横を流れる石狩川で土砂がストップし、道路に被害は及ばなかった。
層雲峡の岩壁はそこを通る国道39号線で度々惨事を起こしたのである。
上)崖崩れの現場
39号線を家路に向かっていると、39号線に並行して走っている道路がチラリと見えた(上の地図の赤いポイントが乗っている白い道路)前々から気になっていた道路だ。何だろうなぁ・・と思い、国道からその横路に入って再び層雲峡方面に走ってみる。
「下の画像:大雪山淡水魚センター」ネットで調べても詳細は不明でした。
「ドライブインりくまん」看板には「松尾ジンギスカン」の文字も。
ドライブインがあるという事はその昔この道路が幹線道路であったという事。家に帰って調べてみるとここはかつて道道であったようだ。ただ、並行して走っていた林道が国道39号線として整備されるとこの沿線は徐々に衰退したらしい。
更に層雲峡方面に走ると「ホテル ロックサイド」があり、ここで旧道は終わっています。ロックサイドは割と立派な建物で昔トイレ休憩で立ち寄った記憶があるが、残念ながら2012年12月をもって廃業したそうです。
国道39号線を左に見ながら再び旧道を上川市街方面に向かって走る。時折木の電柱があったりして、懐かしい感じだ。
国道39号線に戻り、国道273号線と交わる手前にある蕎麦店「英(はなぶさ)」に。ここは時々フラっと寄るところ。お洒落な建物ではないが、店内にはジャズが流れ落ち着いた雰囲気だ。
昔は確か十割蕎麦もやっていた筈だが、ここ数年のメニューには無い。
蕎麦の太さは繊細、薬味も繊細。量は少な目だがメタボ気味なのでこれで良い。
帰り道、左に上川町の街を見下ろしながら道道640号線を走る。ここも昭和40年代までは国道39号線だった。
現在の国道は左手の街の向こうを走っています。
誰も走らないノンビリとした道道640号線。
行きは「菊水小学校跡地」に寄り、帰りは「越路小学校跡地」だ。
上川町越路は上川でも最も早い明治28年に入植があった場所で、越路小学校は明治33年に開校、昭和55年に廃校になっている。
赤く錆きったジャングルジムがかつてここが小学校であった事を教えてくれる。
手前の大きな木造壁の建物は体育館だったのだろう。元体育館に付けられた入口が若干不自然だ。
この建物は現在地域の集会所として使われているが、この一帯も徐々に人口が減り続けている。一体いつまでこの建物がここに建っていられるだろうか。。
更に走ると数キロの砂利道がある。左手には石狩川。
樹木の葉が落ちて川が良く見える。
道道640号線は愛別町愛山で国道39号線に接続する。
今回の旅はこれで終わり。近場の歴史を辿るのもイイモノです。
この後、午後から仕事。充実した!?一日^^;
ロードスター、久々にスタッドレスタイヤを履きましたが、いよいよ冬眠です。
古い車は労わらないと内部からサビがきますから・・
冬期も時々エンジンを掛けるのでガソリンを満タンにし、任意保険を春まで最小補償に・・(冬期乗らないバイクなんかもそうですけど、電話一本で補償の内容を変えられ、保険料がお得です)
ではまた・・^^/