土曜日の朝、いつも通り5時に目が覚めた。休日の予定は日曜日の午後に子供の部活動の大会を見に行くだけ。
「どうしようかなぁ~」と考えたが、とりあえずボーっとして何となく過ごしたくないのでロードスターにキャンプ道具を積んで出掛ける事にした。
(結局いつものパターン・・^^;)
天気予報を見ると北海道全体雨は降らないものの、道東は最高気温が15℃前後で寒い。脳裏に浮かんだ知床はパス。暖かい(と言っても最高気温20℃台前半の)日本海に向かって適当に走るとするか・・・
テント寝及び虫が苦手な妻は「いってらっしゃーい!」亭主元気で留守がいいってぇ~?。
途中、鶴沼公園キャンプ場に寄ってみた。上画像、ロードスターが停まっている所はキャンプ場の駐車場ではなく、浦臼町自然休養村センターの駐車場。鶴沼を挟んだ向こう側にキャンプ場の管理棟や駐車場がある。初めて来た人は間違うのではないかな?
このキャンプ場は道の駅や入浴施設がすぐ傍にあるので便利そうだ。
しかし、天気が悪いなあ。折角ピカピカにだったのに2回も雨に当たった・・
天気予報ではそんな事は言っていなかったのにさー。
さーぁいごぉーの嘘は優しい嘘でいい~♪
幌を開け放ってノンビリ歌を歌いながら日本海を目指す。
AM9時15分頃店の前に到着。既に7~8人が並んでいる。オープンはAM11時なので並ぶのが苦手な自分にとってはかなりの苦痛に思われた。
3年前に来た時は確かオープン30分前に到着し、開店後1時間半は待った筈。しかも噂によると80人位でお客さんを打ち切ってしまうので、折角来ても食べられない可能性がある。実際3年前の自分も最後に近い客で私が入店した途端暖簾を下げて食べ放題になった。
とりあえず並んだ。多くの人は準備良く折畳椅子やビニールシートを持ってきている。そんな道具なら私だって色々クルマに積んでいる。しかし、この際いい運動だと思って立ちっぱなしで待つ事にした。
時間が経つにつれ、開店待ちの客同士が和気藹々と雑談し、仲良くなっていく。大体いくら安くて美味しいからと言ったって、札幌から1時間も掛かるこの田舎に朝っぱらから好きで集まるスキモノ達だ。根底は同じユーモアを持っている。気が合わない訳が無い。
そしてこの待ち時間が客同士の高揚的一体感を生み出し、食事の美味しさを倍増させるのだった。
立ち話で聞いた話によると、この店の大将、昨年で店を閉めると言っていたらしい。70代も半ばで体に堪えるのだろう。
大将は3年前に来た時と何も変わらず、「あんたどこかで会った事があったけ?」「元気なおにいちゃん(小学生)にはおまけを上げよう。何が欲しい!?」などと冗談を言いながら寿司を握って行く。
既に一体化している客が一斉に笑う。これがとても楽しい・・
まずは上画像の寿司が、続いて下画像の寿司が運ばれて来る。これがデフォルト(標準)だ。
大将は面白い事を言う客だったり、ご高齢の労わるべき客だったり、カワイイお姉さんだったりすると、辛口の冗談を言いつつ追加で何かを握ってくれる訳だ。
店仕舞いに近付くと食べ放題になる事も少なくない様だ。実際私は3年前にそれを経験した。あの時は楽しかったな~。
私の一番のお勧めは、小皿に乗っている、ハンバーグの様なネタ。これはアナゴだ。フッカフカかつジューシーに調理されたアナゴは小樽の寿司職人がコレを目的に尋ねて来るほどだという。
私はお隣の女性達と雑談し、心から美味しく食事を終えた。
今時の飲食店って大抵一定水準を満たした美味しいと言える食事を出してくれるんだけど、店員さんの親しみある接客一つ、店内のお洒落な雰囲気一つで、その美味しさは飛躍的に高まるものだ。
この店は特別綺麗な店舗でもないし、いくら安いと言ってもガソリン代と1時間もの時間を掛けて(私の場合は2時間以上)来るほど安くはないのだ。
しかし、大将やスタッフの方々による「皆に楽しんで貰いたい」という心意気が人々をそうさせるのだ。ここに商売の本道があるんだろうなぁ。
2020.12月追記
かねとも寿司は既に営業しておりません。建物も取り壊されました。
何となく思い出し、懐かしくて検索していると、Youtubeでかねとも寿司の大将を発見しました。
地元のマスコミで子供の頃からの思い出話をされております。
お元気そうで何よりです。
私の経験で最も楽しい食事が出来たのは「かねとも寿司」です。
お世辞にも良い場所に立地していなくてもあれだけのファンがいたお店です。
商売のあるべき姿を勉強させて貰いました。
本当にありがとうございました^^
かねとも寿司を出た後、前に入店出来なかった小樽の工藤珈琲事務所に行こうかとも思ったが、何だか今日はエネルギー切れ。早々にキャンプ場に行って昼寝をしたくなってきた。
当初「鶴沼公園キャンプ場」を目指したが、厚田の街を出てすぐに「厚田公園キャンプ場」の看板を発見。どんなものかチョイと覗いてみる事にしたが、見た瞬間、私の長年の経験に依る「このキャンプ場はイイよ的な勘」が働き、ここに宿泊する事にした。
・オートキャンプ場として大人1人だと1,200円で利用出来る
(ライダーもチャリダーも同じ値段なのでコチラの方はコスパはイマイチかな)
・そばに小川が流れ、そのせせらぎの音が夜間の余計な物音を掻き消す
・私が到着した時は人がまばらだった(これが誤算だったが・・)
私は内陸育ちなので、海には並々ならぬ憧れを持っているが、テントを張るとなるとやはり変化に富んだ山中が若干面白いかも知れない。
鳥の鳴き声、木の葉が揺れる音、土の匂い、複雑な体感は時に子供の頃の忘れかけていた風景が脳の奥から不意に蘇って来る。
それは私にとっての原風景なのだろう。
私がテントを張ってから間もなくして、自転車に荷物を満載のおじさんがキャンプ場に入って来た。そのおじさんは入場手続きを終え、あぐら椅子に座ってノンビリしている私の方に向かって来た。目と目が合って挨拶する。「隣に張ってもいいかい?」「どうぞ」短い挨拶の後、そのおじさんはフーっとため息をついて、ヘルメットを東屋のテーブルに置いた。
何でも札幌から‘時計周りで北海道一周’を目標に走って来て、今日がその記念すべき第一日目だと仰る。
「今日は65キロ走ったんだぁ」65歳とは思えない無邪気な笑顔。最近まで自営業をしていたとの事だが、店を人に譲ったのを機に自転車旅行に出たとの事。
「テントの張り方は家で練習してきたからさぁー、大丈夫」
えっ?キャンプツーリングが初めてなの~? いきなり北海道一周とは随分大胆な・・。
不肖私も自転車で留萌や白金温泉にキャンプに行った事があるが、「北海道で長距離自転車を走らせる+テント生活」は、様々なノウハウが必要だろう。
偉そうに言っている私だって殆んど良く分からない世界。
それが、今日初めてのテント宿泊本番だなんて・・
おじさんと談笑した後は、軽く昼寝。周囲は家族連れが多く、自然の中を走り回る子供達の声が響き渡り、平和だなぁ~、我が家も昔こうしてキャンプに来ていたよな~と懐古に浸りつつ、眠りについた。。。
テントを張ってから厚田のセイコーマートで買って来た夕食・・・
駄目だね、お腹一杯の状態の時に食事の買い物に行っては。
オニギリ2つにカップ麺。でもテントの中で食べるのは何故か美味しいのさ。
いつしかキャンプ場は混み合い、東屋を挟んだソロキャンプの2人は若干浮き気味。
午後7時半、現地の気温は13℃。寒くなって来たので焚き火をする事にした。
午後8時を回った頃、午後6時頃から寝ていた隣のおじさんが「寒い寒い」と起きてきた。
一緒に焚き火を囲みお喋り。おじさんは最近まで市場で魚屋さんを経営していたらしい。なるほど 道理で威勢がいい感じだ。
奥さんは自宅で留守番、子供達はもう成人して家を出ているとの事。
若い頃から毎日15時間は働いていたんだって。
「日本はさー、一生懸働いたらいい事が待っている国だよ。兄ちゃんも頑張って働いて俺みたいに老後を楽しむといいさ」
妙に説得力があるお言葉だ。
「焚き火ってあったかいな~」「焚き火っていいな~」「焚き火って有難いな~」と何回も言っていた。私はその度(そうだよ、焚き火って最高だよ)と心の中でつぶやいた。
これからの旅で、どんなキャンプ場がチャリダーにオススメか、どんなステキな温泉があるのか、どんな風景が待っているのか、私が今迄経験したとっておき!?の話を交えて午後10時半まで2人で楽しく過ごした。
気持ちよーく寝ていたら、午前0時に大声が聞こえて来て目が覚めた。
30m位離れているグループが、焚き火を囲み、居酒屋でのお喋りさながらの勢いで談笑しているのだ。酒が回って来て声のトーンを押さえる事が出来なくなっている。他のキャンパーも眠れない人続出のようだ。
夜のキャンプ場はジッパーを引く音さえ響き渡る。結構離れているのに聞きたくも無い会話の内容が丸聞こえ。最悪だ~。
ティッシュを耳に突っ込み無理やり横になった。(結局午前1時まで談笑は続いた)
注意すればいいじゃん、と思われるかも知れないが、イチイチこんな事で揉めていたら体が持ちません。「大らかな気持ち、大らかな気持ち」と念じて目をつぶるのが吉。
私がソロキャンパーのなのに多少高くてもオートサイトを多用する理由はこの辺にあるんだなぁ。
午前5時半起床。既に隣のおじさんは荷物をまとめ終えている様だ。
知ってはいたが午前3時過ぎからゴソゴソ片付けをしていた。寒くて少ししか眠られなかった様だ。キャンプ初日にいきなり寒さの洗礼を浴びたおじさんではあったが、臆する風でもなく、「兄さんの言った通り留萌で寝る時に着るパーカー(頭からスッポリ覆われるので暖かい)と貼るカイロでも買うよ」と元気一杯。
コーヒーを淹れてあげ2人で乾杯し、いつかまたどこかで会う事を祈念してお別れの儀式とした。
上の画像は私の朝食。あんパンに味噌汁なんてムチャクチャ。さすがに相性が悪かったな。
おじさん、さようなら~。
オロロンライン、これから増毛迄は厳しいアップダウンと危険な長大トンネル群をこなしていかなければならない。北海道沿岸では一二を争う厳しい道路だ。
事故に遭遇せず無事北海道一周を達成して欲しいと願った。
上画像は雄冬野営場。何年か前に利用した事があるキャンプ場。
国道の横にあるので大型トラックが通ろうものなら地響きが発生する。
面白いんだけどね。
実はおじさんが気になり、1時間遅れの出発で追ったのであった。
発見したのは15キロ先。元気に走っておりました。
追い抜きざまに手を振って挨拶し、本当のお別れ。
様々な人生の先輩から色んな事を教わった今回の旅でした。ではまた・・^^/