北海道は自然に溢れており、野生動物(生物)にも沢山遭遇する事が出来ますが、注意すべき事も多々あります。ひとまとめにしてみましたので参考にしてください。
■エゾシカについて 交通事故危険度「かなり大」
■住んでいる所
エゾシカは山から平地まで草木がある所には大抵存在が確認されます。
時には迷い鹿が市街地にも出現します。
■からだ・特性
オスで大きなものだと体重が170キロにもなるそうです。
可愛らしい姿をしていますが、近年個体数が爆発的に増え、農作物等への食害や交通事故の社会問題が起きています。むやみに接近しなければ攻撃として人間に向かって来る事は殆どありません。
■交通事故
北海道の道路を走る場合、突如鹿が飛び出してきて交通事故になってしまう事は決してレアなケースではありません。私自身何度も衝突しそうになりましたし、知人も1年に2度エゾシカと衝突しています。クルマが壊れるだけではなく、運転席に飛び込んで来て人間も大怪我等をしてしまう場合があります。
エゾシカは夕方や明け方に特に活発に動きますが、日中もよく見掛けます。
道路脇の草薮から何の前触れもなく突然飛び出して来るので危険です。特にバイクの場合は死に直結する問題。スピードは控え目に、周囲への目配りは常に怠る事の無いようにしましょう。
■ヒグマについて 遭遇度「極めて小」・知床密度大(遭遇度小)
北海道にはヒグマが住んでいます。2013年に北海道が調査した結果によると推定2244~6476頭生息しているらしく(この数字の幅は何?)、アウトドアを楽しむ人にとっては注意が必要です。万一の事故を防ぐ為にヒグマについてよく知っておく事が大切です。
但し、普通のキャンプ場にヒグマが姿を現す事は極めて稀です。私も長い事キャンプを楽しんでいますが、キャンプ場で出会ったりした事は一度もありません。
基本的にヒグマは非常に頭が良いので人間の前に姿を現わすという迂闊な行動はとらないものです。
毎週渓流釣りに出掛ける人でさえ、山中で直接出会う事は殆どありません。
もしヒグマがキャンプ場やその周辺を徘徊した場合、そのキャンプ場は自治体などの判断で閉鎖される事が多いです。
■住んでいる所
森の中です。北海道の都市部を除く全域に生息しています。
■からだ・特性
オスは体長最大3m・体重500キロ、メスは体長最大2.5m・体重300キロ と日本最大の哺乳類です。手には長く鋭い爪が生えており、餌を探したり、木に登ったり、戦う時の強力な武器になります。鼻が利き、音にも非常に敏感です。頭脳は犬以上と云われており、先回りや待ち伏せなどを容易に行います。走るスピードは時速50キロ以上とも云われ、人間より遥かに機敏に動けます。1日に山中を数十キロ移動する事が出来ます。基本的には人間を避ける生活をしていますが、人間が山中に入って出くわしたり、生ゴミなどを山の傍に捨てる事によって誘引され山から下りて来て人間に危害を加える事があります。
■ヒグマの活動時期
ヒグマは11月~12月頃から2月~4月頃まで冬眠(冬籠り)をします。メスは1月から2月頃に子供を2頭ほど産みます。冬眠は地面の穴などを使いますが、完全に眠っている訳ではなく、穴の傍を人間が通ると飛び出して来る事もあるようです。冬眠明け、冬眠前は餌を求めて特に活発に動き、人間に遭遇する可能性が高まります。
■食べ物
植物を中心に鹿やネズミ、鮭、昆虫など何でも食べます。また人間が食べるものは基本的に大好きです。
■どんな場合に人間を襲うのか
・母熊が小熊を守ろうとする時
・不意に出くわした時
・捕獲した餌を取られると考えた時
・人間が美味しいものを持っていると知っている時
・人間を襲い慣れている(人間より自分の方が遥かに強いと認識している)
・遊び心で接近
等等様々な理由があります。
■ヒグマ対策(予防)
・山に入る際は多人数で爆竹、熊鈴やラジオなど音を出しながら
・ゴミの片付け、食べ物の保管に注意を払う(匂いを密閉するなど)
・糞や足跡があった場合は引き返す
■ヒグマ対策(出会った時)
どの方法が正しいかは明確な答えはありません。ヒグマの目を見ながら背を見せず刺激を与えないよう後ずさりする、攻撃してきたらナタなどで反撃した方が助かる、ヒグマスプレーが有効、等諸説がありますが、どれも必ず成功するとは限りません。ヒグマが本気で攻撃してきたら人間が勝つ見込みはゼロに近いです。まずはヒグマに出くわさないようにする事が肝要です。
■キタキツネについて エキノコックス危険「通常極めて低い」
■住んでいる所
キタキツネは山から平地まで北海道の全域に生息しています。
■食べ物・特性
人間に攻撃を仕掛けて来たという話は聞いた事がありません。基本的に臆病です。普段は小動物や果実などを食べていますが犬と同じ様に人間の食べるものが大好きです。人間慣れした個体は人間に接近して餌をねだりますが、道路に出て来て交通事故に遭う事につながりますので決して餌を与えてはいけません。
■エキノコックス
エキノコックスという寄生虫が寄生している場合があり(キタキツネに限らず野犬等にも)、排泄される糞の中にエキノコックスの卵がある場合があります。その卵が何らかの理由で人間の体内に入るとエキノコックス症になり、命の危険が伴います。
野草を生で食べたり、沢の水を熱処理せず飲む事は避け、アウトドアでは手を洗う回数を多くしましょう。
キタキツネのエキノコックス感染率は40%とも云われています。
■マダニについて 草やぶでの危険度「大」
■住んでいる所
山や山裾などの草藪
■食べ物・特性
草の上に潜み、動物の発する二酸化炭素・体温・振動などに反応し動物の体に飛び乗り、数日間にわたり吸血します。
■感染症
ただ血を吸われるだけでも気持ち悪いですが、ダニは重症熱性血小板減少症候群・日本紅斑熱・Q熱・ライム病など様々な感染症を引き起こす可能性があります。
■予防・吸血された際の取り除き方
予防策としては、草むらに立ち入らない・長袖長ズボンを着用・虫除けスプレーを使う・草むらに入ったら服の着替えをしお風呂に入るなど。
体に取りつき吸血されている場合、理想は病院で切開して除去する事ですが、殆んどの人はパニックになり強引にむしり取ってしまうでしょう。この場合、頭部が肌に食い込んだまま残ってしまう事が多いです。
無理に取ってしまうとダニの体液が逆流するなどして感染症の恐れが高まるのでやはり出来る限り病院を受診すべき。
ちなみに私も今迄数度吸血され、自分で除去し病院を受診した経験があります。
■カラスについて キャンプ中は危険度大
■住んでいる所
もはやカラスの居ない所などありません。
■食べ物・特性
よく見掛けるカラスはハシブトとハシボソです。
くちばしの形状などに違いがあります。
雑食で人間の食べられるものは勿論何でも来い。知能は人間の6歳児程度とも
言われ、空を飛べる能力を存分に使い、キャンパーの食料を狙います。
■注意!!!
夜は日が暮れるまで、朝は日が昇った途端活動を開始します。
宴会の食べ残しやゴミを見える所に出したまま寝ると、朝にとんでも無い事に
なります。群れをなしやって来るので騒がしくて目が覚める程。
荒らされるだけではなく、水っぽい糞でテントや椅子が汚れます。
キャンプの経験が少ない人にありがちなミスです。
日中だって油断は出来ません。木陰から我々人間をじっと観察し、
チャンスを虎視眈々と狙っています。
■マムシ(ニホンマムシ)について 草やぶでの遭遇度「中」
■住んでいる所
森、山や山裾などの草むらに生息しています。
■食べ物・特性
肉食でカエルやネズミなどの小動物を食べています。
性格は臆病で、好戦的ではありません。
毒蛇ではあるが、毒性が神経毒では無く出血毒である為、噛まれても死亡に至るケースは少なく、日本ではマムシに噛まれる人は3,000人、対して死亡するのは年間5~10人です。
■噛まれた場合
通常噛まれて20分後位から痛みが出る。毒を体に巡らせない為に極力安静にした上で6時間以内に病院を受診し、血清の投与を受けて下さい。
患部の口での毒素吸引や患部そばをタオルで縛って毒素を体内に巡らせない等の緊急対処については方法を適切に行う必要があります。
口での毒素の吸引は吸った人間に害が出る事は少ないですが、口内炎がある場合はこれを行わない方が良いとの事。誤って毒素を飲んでも胃液により無害化されるらしいです。タオルで患部そばを縛る場合は強く締め過ぎず、数分おきにタオルを緩めて血行を促す必要があります。
■アライグマについて キャンプ中の危険度大
■住んでいる所
生息域は北海道全土。稚内や羅臼にも生息しています。
基本的に水辺に住むのを好みますが、人間の住める場所であればどこにでもいる
可能性があります。
■食べ物・特性
自然の中では生き物全般、果実もOK、基本人間の食べられるものは何でもこい。
アライグマの洗いという動きは元々は水中の獲物を捕獲する際に前足を水に突っ
込んでいる姿を指しています。
元々は北米が生息地。外来種で北海道に定着するという事は、頭が大変良い事を
表しており、以前テレビでワニの背中に乗って川を渡る野生のアライグマが紹介
されていました。
冬、氷点下になる地域では冬ごもり(半冬眠)をします。
■注意!!!
基本的に夜行性ですが、昼間も行動します。
狂犬病を始めとした感染症の危険がありますので無理な接触は禁物です。
タヌキに似ていますが、タヌキの比にならぬ位、大胆な行動を取る事が出来、
性格は狂暴です。
私自身、テント内に居る時に侵入され、ゴミ袋の引っ張り合いをしました。
いざとなれば戦う姿勢を持ち、鋭利な犬歯で噛み付きます。
猟犬が噛み殺された事もあるそうです。
日本でも散歩中の人間が次々に襲われた例があります。